光田健一ライブ

「たった一時間だけ、あなたといたい…」

at 調布ginz on 2000.6.6

      

〜蓋を開けると、そこには「嘘」の文字が…〜

 

<セットリスト>

M1:優しい雨の中で M2:去りゆく友よ M3:1998 M4:花火 M5:蛙 M6:青春と絵の具 M7:Leave me alone M8:Night and day M9:Sing Sing Sing M10:願い 

EC1:ねぇ? EC2:Cryn Smile EC3:きっと夢を見ていた EC4:☆STAR☆〜スター〜 EC5:みち草 EC6:ありがとね 

     M1〜M5・M10・EC6:弾き語り

 

 

◆ これだけは、最初に言いたい!

 

「どこが、『たった1時間だけ、あなたといたい…』なんだ??え?どこが1時間ライブ??」と、まず言わせてもらおう。今回のライブは、サブタイトルに記した通り、告知とは大違いの内容だった。そのこと自体に、不満があるというわけではない。ただね、ライブは平日に開催。次の日も平日。1時間ライブとあれば、そのつもりで来るでしょう。まあ、どのみち、健ちゃんが1時間で終わるはずがないとは、思っていたけれど、それにしたって、2時間くらいで終わるだろうと思っていたから。じゃあそれなら、急がなくても、終電にも乗れるだろう、そう思っていた私だったから、嬉しい誤算と引替えに、大きな駆け引きを行わなければならなかった。はっきり言って、途中から、ヒヤヒヤしながらの状況だったし、帰りは、京王線に乗りながらも、「どの経路で帰るべきか!」と、頭の中で時間計算を行いながら、ヒヤヒヤしなければならなかったし。正直、行きに、駅員さんに、新宿までの所要時間を聞いておいたことと、時刻表をもらってきたことは、正解だったと思った。

 

告知との違いは、時間ばかりではない。「弾き語りライブ」そんな告知だったと思うが、こちらも、何気に、トッキーにCICOちゃん、啓三君の飛び入り参加、オープニングアクトメンバーも加わった演奏などで、予想を覆された状況。告知は、嘘偽りで、実際は嬉しい限りの内容。つかれた「嘘」は、お客さんを喜ばせる内容だった。

 

 

◆ はじめに

 

さて、今回のライブは、人数限定80名。ファンクラブ会報の告知を見て、チケット獲得は運だなと正直思った。実際にとれるかどうかも不明。さらには、平日ときたもんだ。開場時間も18:30。この時間につくには、至難の技になるだろうなと思いつつ、チケット獲得に励む。妹が、協力してくれるということで、家の電話と携帯電話の2本攻め。家の電話は、早々と「この電話は大変混み合っております。しばらく経ってからお掛け直し下さい」というアナウンスが…。携帯電話の方では、そのような状況も起こらず、10分程経ってから、「お姉ちゃんかかったよ」と妹が携帯電話を差し出す。「おお!!すばらしい!」と思いつつ、電話を受け取り、予約を済ます。予約受け付け番号は、「16」。この後、他の友人達はどんな状況なのかの確認。チケット獲得枚数も、いつものメンバーが全員行けるだけ、とれた模様。正直な所、余りが出てしまったので、私は、健ちゃんの存在を知らない、友人を誘い、是非光田健一を楽しんでもらおう!という、方法に出た。

 

当日は、何とか、定時に会社を上がり、急いで調布に向かう。連れの友人は、先に会場に到着。いつものライブメンバーも、数名到着していた。しばらくすると、番号順の整列が始まり、開場を待つ(開場時間が、19:00に変更になったのは、非常にありがたかった)。

 

 

◆ 健ちゃんの登場まで…

 

会場は、いすが整然と並べられ、入場順に各自が好きな席に着く。今回は、テーブルがなく、より多くのお客さんが入れるような配置になっていた。ひとまず、席に着き、ドリンクを取りにカウンターへ行く。立ち見多数で、場内はお客さん達で埋め尽くされていた。

 

19:30になり、トッキーがステージに登場(ちなみに、ginzのステージは、客席より下にある)。トッキーは、今回のライブのオープニングアクトを紹介した。オープニングアクトのバンドは、トッキーの教え子(みんな、20歳!!)。「B&W」というバンドだ。トッキーは健ちゃんに、「オープニングアクトで丁度良い人いない?トッキーよろしくね!」と言われたようで、今回のバンドになったようだ。バンドメンバーは、3人で(Vo.G.Key)、そこにサポートとして、ドラムとベースが加わった、5人構成。女性ボーカルのバンド。彼らは、5曲演奏。なかなか、感じの良い曲だった。

 

 

◆ 本編

オープニングアクトメンバーがステージから去り、ステージセッティング終了の後、20:15頃、健ちゃんがステージに登場。まだ少しざわついている中、ピアノをいきなり弾く。場内のざわつきも徐々に薄れ、ピアノの音のみが響く。さて、この後どうするんだ?と思っていると、健ちゃんは口を開いた。「久々な地道なライブですね。コンサートは一杯やっているけどね。実はですね、何を喋ろうかなってずっと考えていたんだけど、何も出て来なかった。きっと皆さんは、何が出てくるんだろう?どんな世界に連れて行ってくれるんだろう?とか思っていたんでしょうが、何喋ろうかなってずっと考えてたんですね。こういう時、ピアノって便利ですよねぇ〜」と、話し始め、ginzのオーナーである、小川銀士さんとの関係(去年と同様に、お金を借りて楽器を買ったという話しをしていたが、その借方というのが、銀行のカードを渡され、暗証番号を教えられたということを言っていたので、驚いた)や、現在ginzにある、ピアノは、健ちゃんがその当時、「男の60回払い!」で買ったもの等と、話しを続けた。

 

「優しい雨の中で」は、MCから流れるような形で、始まった。客席にちょっと笑いが残っている中で、イントロが奏でられ、曲の世界へ誘う。そのままの流れで、「去りゆく友よ」へつながる。

 

2曲演奏の後、海賊盤CDにまつわるMC。ジャケット作成に手間取って、予定より遅れているということや、タイトルと収録曲発表。タイトルは、「Booties ♯1」で、全5曲収録。タイトルの意味は、「戦利品」とか「もうけもの」。ちなみに、「Bootleg」というのは、密造という意味で、これに絡めて、「光田密造」なんて言ってた健ちゃん。「光田密造。嫌だねこんな名前」と、付け加えたりもし、場内に笑いが起きる。今回の海賊盤は、「♯1」ということで、この後も続く予定らしい。

 

「1998」と「花火」を、続けて演奏。ちなみに、この2曲は、「Booties ♯1」に収まっている曲。

 

「今日、『おもいっきりテレビ』見ました?僕見てないんですよね〜」と、グッと曲に惹きつけておきながら、気を抜けさせるような、健ちゃんの言葉。彼は、「今日は蛙の日」というのを言いたかったのだ(「おもいっきりテレビ」を見ていた、CICOちゃんから、「今日は何の日」というコーナーで、「今日は蛙の日」というのをきいたそうだ)。なぜ、この「蛙の日」がMCに登場するのかと思っていると、何と健ちゃんは、「蛙」という曲を作ったということ。家の近所には、蛙がそろそろ出没しだし、その蛙が、車にひかれて死んでいるのを見て、フッと出来た曲だそう。なんでも、2日前に作ったということで、勿論初公開。さて、この「蛙」という曲。いきなり、「蛙」という言葉から始まる。蛙の気持ちが、綴られた曲。嫌われ者で、とか、つぶれて死んじゃった仲間達とか、人の本心が見えるとか、そんな歌詞が詰っている。要所要所で、笑いを誘う歌詞。蛙の雰囲気っぽく、跳ねた感じのピアノ。

 

5曲の弾き語りが終わると、トッキーが登場し、若い20歳の「B&W」から、ドラムとギターも登場。しばし、若者に、質問する(ちなみに、トッチンも彼らの講師をしていて、トッチン先生はどう?等のやり取りもあった)。このメンバーで、「青春と絵の具」から「Sing Sing Sing」まで(殆どが新曲で、生演奏は全曲初)、演奏。

 

「青春と絵の具」は、青春真っ只中(白いキャンパスに、絵の具で埋めて行くというような感じらしい?)、という曲。25歳の時に作った曲だそう。ちょっと渋めな曲。「Leave me alone」は、ずっとライブで聴きたいと思っていた曲。やっと念願かなったという感じだ。これも、「青春」に絡めた、選曲だろうか?

 

ちょっと重たい歌詞の曲の後、健ちゃんは、「ここは眺めが良いですね〜。何本もの脚がにょきにょきと。気持ち良く演奏させてもらっています」と言い、雰囲気を一変。ステージに居る健ちゃんからは、客席を見上げる形になるため、ミニスカートから出ている脚を、下から見上げる状況になる。まあ、いわゆるおいしい位置だな(2階建て列車の下に乗って、ホームを歩いている女性を見上げている感じに近いと思われる)。演奏した曲と次曲のタイトル紹介。次の楽曲も新曲で、フュージョンの要素を取り入れた曲と紹介。トッキーのベースを活かす曲の様。地味なチョッパーと派手なチョッパーが、この後聴けるそうだ。トッキーが、チョッパーをやって見せると、「ハハハ!」と、客席から笑い声が。これを聞いた健ちゃんは、「あ、啓三だ。啓三は笑い声ですぐ分かるね」と、啓三君が来ているのを声で見つける(ちなみに、「Sing Sing Sing」を紹介した時、「まくら、ふとん…」と言っていた健ちゃん。それは、「寝具」だよね…)。

 

地味なチョッパーの曲と紹介された、「Night and day」(健ちゃん曰く、「内藤さんと安藤さんの日」らしいが…客席から、「つまんな〜い!」と言われてたけど)は、耳に残りやすいメロディー。派手なチョッパーの曲と紹介された、「Sing Sing Sing」は、ドラムとベースのやり取りが、聴き所だった。マサ(トミーズの雅に似ていることからそう呼ばれている)のドラムは、なかなか力強い。

 

力強い演奏の後、健ちゃんが、1人ステージに残る。「ginzでは、毎日ライブが行われているので、たま〜に告知無しで、飛び入りで参加しようと思っているので、近くの方は遊びに来て下さい」と、告げ、本編ラストの、「願い」を演奏。弾き語りで、いったん締めて、拍手の中、ステージを去る健ちゃん。

 

 

◆ アンコール

 

アンコールを求める拍手の中、健ちゃんとトッキーがステージに登場。「アンコールの拍手有難う!もうどれくらい経ってますかね?」と健ちゃん。既に、健ちゃんが登場してから、2時間近く経っており、「もうこの時点で、嘘ですね。この後も、もう少しみんなと遊びたいと思います」と、告げると、客席から拍手発生。「あれ?CICOちゃん何で来ないの?一緒に出ようって言ったジャン」と健ちゃん。「本当にやるの?」と、CICOちゃん。「何言ってんの?昨日リハーサルにいきなり来たジャン」ということで、CICOちゃんも、2人に遅れること、ステージに登場。

 

トッキーが健ちゃんに、iモードのメールで、リクエストしてきたという「ねぇ?」が、アンコールの1曲目。おなじみの振り付けがある曲だが、まあ、今回は座って聴く状況なので、座ってノルという状況。立ち見のお客さんの中では、踊っている人も居た。そして、健ちゃんのライブになくてはならないと言っても過言ではない、コーラス大会。今回は、「Cryn Smile」。パート分けは、血液型。A・AB型は、CICOちゃんチームの低音。B・O型は、密造チーム(笑)の高音。練習の時に、健ちゃんは椅子の上に立って指揮をとり、非常に楽しそう。客席を盛り上げ、本番へ突入。いつものようにフルバンドではない構成ではあるものの、盛りあがった場面。

 

さて、コーラス大会の後、再びドラムとギターが加わる。ラテンのノリでということで、「きっと夢を見ていた」。コーラス大会の効果もあってか、より一層盛り上がっている、健ちゃん。より熱が入った演奏で、ピアノ炸裂状態。各メンバーの、ソロも聴き所。この勢いのままで、「☆STAR☆〜スター〜」へ突入。客席との掛け合いも、非常に良い。ginzの空間が、非常に盛りあがっている。この後、GENTLESメンバーだけが残り、健ちゃんは、啓三君をステージに呼ぶ。啓三君は、ピアニカ(正式には鍵盤ハーモニカだが…)片手にステージに登場。どうやら、ピアニカで、演奏に参加する模様。啓三君は、ピアニカの準備をする。ステージ上では、ぶっつけ本番のため、軽い打ち合せを行っている。こういう風景を見られるのも、実はおいしい。さて、ぶっつけで演奏されたのは、「みち草」。ピアニカの素朴な音は、非常にこの曲に合う。息ぴったりの演奏は、さすがだ。ちなみに、啓三君は、山形での仕事を終え、ginzにやってきたそうだ。

 

最後は、健ちゃんだけがステージに残り、「ありがとね」を弾き語りで演奏。お客さんの笑顔と、拍手に見送られ、健ちゃんは笑顔でステージを去った(22:30頃終了)。

 

 

◆ ちょっと感想

 

実に、嘘が一杯だった、今回のライブ。新曲多数で、しかも、ずっと生で聴きたかった「Leave me alone」まであり、嬉しい限り。時間を忘れるほど楽しい時間が、終わった時には、「げっ!終電間に合う?」の不安に駆られた。健ちゃん初体験の友人は、「きっと夢を見ていた」の演奏が始まった22:00頃、電車の都合で、立ち去った。彼女に、最後まで聴いてもらえなかったのが少し残念。彼女は、「最後まで聴いていたかった。良い所で帰らなければならなかったので残念。実は詞が心に響いて、涙が出そうなときもあった。光田さんは楽しそうだった。「蛙」がお気に入り」という感想を後でくれた。途中の段階では、「こういうライブは初めてで、何て言っていいんだろう…」と言っていたので、最終的にこのような感想をくれたのは、嬉しい。

 

弾き語り中心のライブということだけあり、弾き語り楽曲は多数。バンド構成の楽曲は、予想外だったし、まあ、本当に嬉しい嘘がたくさんで。ginzで、トッキーやCICOちゃんを見かけた時に、「もしや、出る?」と思ったし、ステージにコンガが置いてあったのを見て、「あ、やっぱり1時間じゃ終わらないかなぁ」とも思った。予測は当っていたけど、2時間以上というのは、予想外。22:00頃には終わるかなと、正直思っていたから。

 

B&Wの演奏も、なかなかよかったと思う。みんな若くていいな〜じゃなくて、これからまだまだの年齢だし、是非とも、ずっと続けて欲しいと思う。特に、健ちゃんと一緒に演奏した時には、B&Wとして演奏しているときより、「すごいな」と感じた。健ちゃんも、そう言っていたけど。

 

正直、このライブに参加するのも、間に合うかどうかが不安材料としてあった。チケットを取った後に、ライブ当日が、定例に行われる会議の日ということに気づいたのだ。この会議が曲者で、いつも開催予定時刻の16:00に始まらない。過去の経験から行くと、18:00〜18:30頃に始まることが多い。これだと、間に合わないどころか、1時間ライブじゃ、着いた時には、終了してるよなんて思っていた。これは、先手を打つ必要があるなと思い、上司の社長には、前日に、定時に上がることを告げ、会議主催者にも、その旨を伝えた。一応、万全を尽くしたものの、当日、会議が始まらない。「ゲッやばい…」と思い、課長に相談し、主催者に確認してもらった所、主催者の都合で何時に始められるかわからないとの返答。「あ〜〜〜!!なぜ??」と思っていると、社長が、「じゃあ、資料配布だけにしよう」と言ってくれ、ホッと一安心。おかげで、どうにかこうにか、定時に上がれた私。「意思表示を明確にしておいて良かったよ〜」と思った瞬間だった。帰りは帰りで、タクシー利用になるかならないかの瀬戸際の時間だったし。本当に、行きも帰りも、ヒヤヒヤしっぱなし。その分、大きな楽しみが、ginzという空間にはあったし、本当に行けてよかった。妹にも感謝(妹がかけた電話がつながったからね)。しかし、とても凄いと思うのは、人数限定にもかかわらず、いつも健ちゃんのライブを一緒に楽しむ大所帯の我がグループが、みんな参加することができたこと。これはやはり、凄いと思うなぁ(仕事で参加できない人はいたものの)。

 

次のソロライブはいつになるかわからないが、また健ちゃんのライブを楽しみたいと思う。